2010年 12月の記事一覧
先日、5年前に建てた家についてのご相談が ありました。
既存の建物のことについてでしたので、とりあえず、お伺いして話を聞くことに。
リフォームのご相談かな~、とお伺いしたところ・・・
木造ではなく、コンクリート造の家でした。ここが難題の始まり・・
「とにかく住みづらくて仕方がない。リビングに日が当たらない。」
「建物を半分壊して、日あたりの良いところに増築できないか。」
「曳き屋して、日あたりの良いところに家ごと移動できないだろうか。」
「新築して家族の仲が悪くなった、家の間取りのせいだろうか。」
「今の建物を壊すとしたら一千万円くらいかかるのでしょうか。」
お客さまなりに、いろいろ考えられたのでしょうね、次から次へと矢継ぎ早に質問が。
敷地は100坪はあろうかと思われる、余裕のある立地です。
しかしながら、何故かLDKは北東の一番日の当たらないところに・・
そして、お風呂は南側の一番日あたりの良いところに・・
一番条件の良い東南の角は、客間の和室が2間続きで・・現在、誰も使ってません。
日あたりだけの問題ではなく、間取りの悪さも相当のものでした。
家族がゆったり過ごしたいLDKが、細長の形で、アパート以下のしつらえでしたねぇ。
施工状態もひどかった・・・。築5年で、壁紙があちこちツギハギだらけ。
お客さまからまず聞かれたこと・・
「設計する人は日あたりのことは何も考えないで設計するものなのですか?!」
「いいえ!日あたりと風通しは最重要課題です!」
「こちらは初めて家を建てるものですから、良くわからないので、建築のプロである工務店さんに全面的にお任せしたんです。そしたら、こんなに住みづらい家になってしまいました。まあ、こちらが勉強不足だったということで、高い授業料を払わされたってことですかねぇ・・」
私「・・・・・・」
お客さまはとにかく、建物を半分壊して、増築したい!気持ちが一番のようでした。
ですが、コンクリート住宅は木造と違って半分だけ壊す、ということはまず無理です。
壊すことは考えず、内部を全面リフォームして住みやすく間取りの入れ替えはどうですか?
とご提案したのですが・・・どうもリフォームはピンとこない様子。
半分壊すのが無理なら、全部壊して建て替えたい!!とおっしゃるのです。
まったく、ここまでお客さまを追い込むなんて・・この家を建てた責任者出て来い!!
たいていの人は、家を建てるのは初めての経験。
何もわからなくて当然なんです。だからこそ、建築のプロがきちんとリードしてあげなくては。
住んで100%満足は無理でも・・・
この方のように、建ててしまってから後悔している人も多いのでしょうか・・。
まずは解体の費用がどのくらいかかるのか知りたい!とのことでしたので、
業者さんにざっくり見積りをお願いしました。
約40坪のRC住宅の解体費用は税込みで250万円程度。
木造住宅の解体の倍くらいの価格です。
しかしながら、ケチな私は、5年でRC住宅を壊すことはやはりオススメできません・・
間取りを入れ替えることでかなり快適な住まいを実現できる直感がありましたので、
こことここを入れ替えれば、ご希望の住まいに近づけられますよ・・としつこく?説明。
それでもやはりお客さまは???のようでしたので、
最近出来上がったばかりのスケルトンリフォームしたお宅に案内することに。
スケルトンリフォームですから、当然のことながら、見た目は新築同様。
間取りも以前の建物とはまったく違います。階段の位置さえも。
リフォームでここまでできるの?!と、さすがにお客さまも心を動かされたようですが。
「工夫しだいでどうにでもリフォームできす。ただ、RC造の場合は窓の大きさを変えられないのが致命的ではありますが・・」
さて、この先どのように展開していくのでしょうか・・・
いずれにしても、5年で建て替えを考えさせるような家づくりをしている工務店・・
はっきり言って、犯罪です。本当に腹が立って仕方がありません。
もちろん優秀な設計者をかかえている工務店もいますが、
営業マンが片手間に間取りを考えているような工務店もたくさん。
もちろん、ハウスメーカーも同様です。
餅は餅屋。このような不幸なことにならないためにも、設計者を間に立ててくださいね。
あー、腹がたつ。
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置き家具はどうしても壁や天井の間に隙間ができるので、ホコリがたまりますしね。
書斎に本棚を作りつけているところ↓
床から天井までの大小ふたつの本棚+デスク(引き出しつき)を造りつけます。
この天井までの本棚がやっかいもの・・・。
背が高すぎて、3畳ほどの書斎の中に入れられないのです。
よく引っ越しで、大きな冷蔵庫が入り口のドアをまわり切れず入らない!
などということがありますが、まさにそんな状態。
職人さん2人で、本棚をあっちに振り、こっちに倒し・・入らない・・とやってました(笑)。
当然のことながら、事前にどう物を入れるか?検討しているはずなんですが・・
そんなことなら、真ん中で上下ニ分割にしてもらってもOKだったんですけど・・
結局、一度組み立てた箱を分解して中に入れて再組み立て。
急がば廻れ、最初からそうすればよかったですね(笑)。
とうことで・・事前に検討しておかないと設置不可、
などというこにもなりかねませんので要注意。
ま、我々設計者がどうこう言うことではないのですけど。
このあたりは、現場にお任せです。
少しグレーがかった茶系の壁紙とグレーの本棚の色がなんとも絶妙です!
造りつけの醍醐味は、こんなところにもありますね、色合わせ。
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現場進行中のお客さまから突然の電話・・・
たいていの場合、急な電話をいただく時は、現場に問題があるとき・・
で、思わず・・・『何かありましたか??』
『先生!部屋の壁紙、すっごく素敵!!』
と、とても興奮している様子。よかった、よかった。
散々悩んで決めましたものね。
用意した壁紙や床のサンプルは100枚をくだらないでしょう。
お客さまのイメージに合わせて、こちらで荒選びしていきます。
一部屋につき3~4枚くらい。サンプル帳のサンプルは5センチ角くらいしかない
とても小さなものなので、そこからイメージを共有するのは至難のワザ。
そこで、この写真にあるような大きなサンプルを取り寄せます。
今回のケースでは、2、3箇所、最初の提案で気に入るものがなく
選びなおして、再提案。 現場に上記のサンプルを持ち込み、
窓からの光線の具合などを考慮しながら、壁紙の風合いを現地で確かめます。
悩んだだけのことはあります。
どの現場でも同じで、悩んで悩んで決めたものはやっぱり間違いがないです。
「ま、いいか」とちょっと気を許すと、やっぱりね、という仕上がりになる。
ホント現場は正直なので、怖いです。
それにしても、こんなに喜んで、息をはずませて電話をくれたお客さんは初めて、かな。
設計者冥利につきる出来事でした。
壁紙が貼りあがると内部はほぼ終了。これからは外工事の打ち合わせです。
庭にどんな木を植えましょう?!と今はその話題でもちきり。
近いうちに、植木屋さんの畑に樹木を一緒に見に行く予定です。
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『家づくりのイロハ』の『ヤ』 屋根
換気扇の取り付け位置はたいていの場合、外壁に面していました。
女性の社会進出にともない?キッチンはより家の中心で出てくるようになった!と言われています。
その時に気をつけなればならないこと、それは、換気扇の排気のためのダクト(筒)を
どう外まで持っていくか?という点です。
換気扇が外壁に面していませんので、外までの配管経路を確保しなければなりません。
その工事の様子↑
今回のキッチンはまさに家の中心にあり、キッチンから家中が一目で見渡せるプランです。
左上の天井に換気扇がつきます。そして右上に見えているグレーの筒がダクトです。
この時押さえておかなければならないのは、このダクトが通るだけの天井裏の空があるか?
そしてよく忘れがちなのが、その途中に大きな梁がないかどうか。
結構、この大梁を見落とすことがありがちです。
ダクトが通らないから梁を欠いちゃえ!などという乱暴な業者もいるでしょう。
これは木造住宅にとっては致命的なので絶対に避けたい行為です。
事前にきちんと構造図を書き、配管経路を検討しておくことが何より大事になります。
工事が終わって天井をふさいでしまえば、まったく見えない場所だけに
こうした点はきちんと押さえておきたいですね。
キッチンを家の真ん中に!そんな時には、ここまで考えておく必要があります。
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家づくりのイロハ『ク』グルニエ(屋根裏部屋)