2010年 1月の記事一覧
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ゼロ・エミッションとは、1995年から国連大学によって提唱されたもので、廃棄物をゼロにし、資源を無駄なく利用することにより、地球環境への負荷を限りなく低減するということを意味している。と秋田県立大学木材高度加工研究所編集の木材百科にある。このゼロ・エミッションを住宅において考えてみると、我々はどうゆう方向で設計行為をなすべきか、また住宅の存在自体どうあるべきか、が見えてくる。 近年、100年住宅とか、さらに 200年住宅など長寿命住宅を前面に出したセールスをする住宅会社が増えて来ましたが、はたしてどのくらいの会社が長寿命の意味を正しく理解しているのか疑問に思えます。長寿命にするには、構造が丈夫なだけではいけないと思います。一つの住宅に住む人は、200年住宅では5世代~7世代の家族が生活することになります。世代が移り行く間に生活様式や生活の仕方も変わり、2世代目で住めない、住みたくない住宅になるやもしれません。中の間仕切りや天井、床など自由にその都度変更出来る構造にするべきです。しかし構造と外部の断熱は完全なもので作る。これが今のところ、私の答えです。そして30年で家を建替えるなどで廃棄物を出さないためにも長寿命住宅は必須なのです。 ゼロ・エミッションを住宅の生産から生活のライフサイクルの面から、考えてみました。まず材料です、木造住宅では100㎡の住宅で平均20m3の木材を使います。この20m3を得るためにどのくらいの廃棄物が出るのでしょうか?木材の廃棄物には、山に植林して成木となるまで、枝打ち、間伐などがあります。切り出して製材すると端材、オガ屑、住宅の加工組み立てするまで端材、オガ屑、未使用のものを含めれば莫大な量だと想像できます。最近になって、チップやペレットにして燃料や OSB、炭にして水質改善に役立てたり、いろいろの試みがなされています。でも木はなんとか考えれば、廃棄木材の利用を考える余地はあると思うのですが、ボード類、断熱材(発泡系)など再利用など不可能に思えます。ゼロエミッションから考えると我々設計者は、木材を中心にした再生可能あるいは、他の姿に変えて利用可能な材料を使い、より安全で長寿命な住宅を作らなければならないと考えます。
地域的で見ると、我が地域(秋田県由利本荘市)の気候の変動は、自分が生活した30年余り(大阪から越してきて30年余)の間でも顕著に温暖化していることを感じる。当地に来た頃の冬は寒く道路に氷で轍が出来て車を運転していてハンドルを取られることはしょっちゅうでした。もちろん除雪も良くなり、最近ではほとんど路面に雪が残っていないのだが、それにしても2~3m先も見えないくらいの地吹雪も見られなくなった。こういったことが地球規模で起こっているらしいことは、毎日のようにメディヤが伝える。我々が温暖化を防止する活動に少しでも参画出来る方法は何かと考えた時、CO2を出さない生産活動と、建築物のライフサイクルの排出を押さえる設計を志す必要がある。 化石燃料をなるべく使わない設備、省エネの建築構造、自然エネルギーの活用などを考える。自然エネルギーの項で書いたように、太陽は膨大なエネルギーを地球上に届けている。残念ながら、太陽エネルギーの活用率は、どの地域でも同じようにとはいかないが、先人の知恵も借りながら、蓄熱も含めた高気密高断熱で、太陽熱で、通年気持の良い温熱環境を住宅に提供したい。
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