色とは、すなわち白色光の反射です。

赤、橙、黄、緑、青、藍、紫の光に分解できます。

人はこの反射光の波長の長さで「色」として

感知します。


様々な色がこの世にはあります。

当たり前の話ですが、全ての色彩は自然界の中に

意味を持って存在しています。

人はその「意味」と切り離して、美的、心理的効果を

ねらって駆使する技術を持っています。

建築においてもモダニズムでは多くの試みが

なされてきました。

ただ、表面処理的なもの、余りに作為的なことは

やはり「色あせ」てきます。


さて、私が建築で使う色について考慮することは、

その素材の性質に則した色であるとともに

風土との調和、連続性です。

外壁の塗り壁はその場の土、石を表現すべきです。

板壁は周辺に自生する樹の幹の色に沿うべきです。

屋根は空や森の緑を映しますから無彩色です。


写真の家は一見、原則から外れて見えます。

全体に様々な白を組み合わせています。

南アルプスの巨大な山脈を抱くように建ちます。

この山脈は毎年10月20日ごろ冠雪し

5月の終わりまで真白き峰々なのです。

それと一体化するように「白」です。


そして梅雨明けの昨日、いかがですかこの景観。

「山は青きふるさと」とつい口ずさんでしまいます。

空と山塊と建築が一体となっています。