23歳のころだったでしょうか。

乃木坂の磯崎アトリエにアルバイトで

通っていたことがあります。

当時はロサンゼルス美術館のプレゼンテーション用の

模型を作っていて、そのトップライトの

デザインバリエーションの模型パートを手伝いました。

スタッフは夜も昼もなく一心不乱に仕事をします。


ある朝、徹夜明けのスタッフが倒れ、救急車で

運ばれていきました。「あいつはもうだめだな・・・・・。」

と、つぶやくように入所以来3年間模型作り専門の

M氏が冷たく言っていたのを良く覚えています。


そんなアトリエに、日が暮れた頃磯崎新さんは

華やかな宮脇愛子さんとともに現れ、

スタッフの机から机に渡り歩きます。

そんなとき、イエローペーパーのロールを後ろ手に

持っていて、スタッフを脇に立たせ

机に座ったかと思うとコロコロっとロールを拡げ

図面にチェックを入れていくのです。

「な、なんてかっこいいんだ!」

自分もいつかあのようになりたい・・・・・。


それ以来25年間、私はスケッチといえば

イエローペーパーです。そしてこれからもです。