日がどっぷりと暮れる。

とたんにあたりは鼻をつままれても

わからないほどの暗闇に・・・・・・・・。

隣の、そのまた隣の別荘の奥様が

そう言って、真っ暗な夜を怖がっていた。

都会で育った私も

この暮らしを始めたときは、

この「本物の夜」に驚いたものだ。

どんな泥棒でも

この暗さでは仕事も出来ないだろう、と

かえって安全に思ったものだ。

しだいに、

このモノクロームの月明かりの下で

まるで、重力から開放されるような気分や

星明りに包まれる心地よさを知ると、

夜の散歩がやみつきになった。

そして、

足元を見ようと思うから

見えないことが怖いのだ、と気がついた。

地面に足の裏を

ひとーつひとーつ、ぴたっぴたっと、

合わせていく、この感じ・・・・・。

これだ。