紅葉の名刹を訪ねては、そこを彩るもみじの種を採取し、

自宅の庭や玄関先で様々なもみじを育てる、

そんな趣味をお持ちの建て主が、

どうしてももみじの森に住みたくなってしまった。
三千院もみじの家上棟.JPG

ワイン愛好家がスクラップしているラベルのリストの

一つ一つについて克明に味の評価を朗々と語るように、

膨大な数のもみじのポット苗や鉢植えの一つ一つについて語る。

三千院のもみじの種をご夫妻で採取しているときに

不審者扱いされて追いかけられた話は面白かった。


ご主人の設計要望はひとつ。「もみじが似合う家」だった。

その家が先日上棟した。

私好みの無駄のない軸組みだ。この時点で美しくない建物は、

何をどうやったってだめだ。

古い集落のなかでよい意味で異彩を放つ。

細工は流々、仕上を御覧じろ。