急に秋の到来をもたらした

2日つづきの雨。

庭の地面近くに

いっぱいに羽を拡げているアゲハチョウ。

あれ?と思ってそっと触れてみると

生きています。

寒くて動けないわけではなく、

どうやら産卵という

生涯の最も大事な役を終え、

静かに、じっと命が尽きるのを

待っているのだとわかりました。


ところでどうして

あれ?と思ったか。

夜行性の蛾と違い蝶は鳥などの天敵から身を守るため、

その目立つ羽の柄を隠すように、

留まっているとき羽はたてに

閉じているのが習性です。

小学生でも知っています。

だから、あれ?と思ったのです。


冷たい雨に打たれながらも

なぜ羽をいっぱいに拡げて

静かに命が尽きるのを待つのでしょう。


僕は丸一日そのことばかり考えていました。


そして思います。

自らが産んだ次世代に命をつなぐ

卵を守るため、

外敵からの注意をあえて引き、

そして、むしろ食べられるために

最後の力を振り絞って

少しでも高い草の上まで登り、

いっぱいに羽を拡げているのでは・・・・・・。


食物連鎖は外敵という概念すらなく、

種自体の枠を超えて

すべて関連し合っているのだと

つくづくと思い知らされたのでした。null