斜め向かいにある実家の建て替え工事が始まる、おおよそ１年前に先行して立
ち現れた、息子夫婦の居城は、１階がＲＣ造りで、２～３階がＷ造りの混構造
からなり、地上３階建・切妻勾配屋根による専用住宅である。

現場から歩いて５分圏内に、桜の名所、夜空を焦がす花火大会で知られている
通称「弁天さん」、ゴルフ場の名門「茨木カントリークラブ」などがあり、歩
いて２分圏内に、大手スーパーマーケットの「グルメシティー」、茨木市唯一
の公的病院である「大阪府済生会茨木病院」などがある。


特に、屋根が被さった時点から、すべての建築物が引き受ける難題の一つ「雨
漏り」についての探険談ですが、クライアントの親から「竣工後、間もないころ
から、雨が降り続く度に、２階の天井・壁に滲み出てくる世界地図のため、施
工会社に何回も点検してもらったが直らず、埒が明かないので・・・・」と小生
の事務所に相談があり、直ぐさま実務経験豊かなエキスパートを紹介したとこ
ろ外壁と一体化して取り付けてある箱樋の水上部分の隠れた隅に、小さな釘穴
が見つかりホースで水を流し謎が解けましたが、原因箇所と離れた所見箇所と
の落差の存在に、改めて原因の究明と施工管理者選定の難しさを痛感した次第です。　　　　

５年余り続いたバブル景気の始まり時、今から約２０年（１９８６年）
前に花が咲いた、地元茨木市にある、１階の用途が店舗・２～３階の
用途が２ＤＫファミリータイプの集合住宅からなる、Ｓ造地上３階建
の特殊建築物である。

最寄り駅の近くに、西国霊場二十二番札所の、亀にのった観音様のお寺
で知られている総持寺があり、歩いて１分で着ける距離には、バス停・
中堅の食品小売業で主婦層に人気の高い、関西スーパーなどがある。



特に、敷地をとりまく環境は、南側に広がる府営集合住宅群の建替えに
伴う大規模な開発工事により、大きく変わり、西側にあった南北方向に
行き来する道は、両側に歩道がつき、民有地を挟んで南側にあった東西
方向に行き来する細い道は、一挙に緑地帯と歩道付の道となり、その余
波をうけて、現場は角地同然に化け、整備された道路には小判ザメの如
く、オシャレな店舗・戸建住宅等がはりつき、町並みは徐々に、心地よい
住環境に変貌しているようである。

建設地は大阪市のほぼ中央で、天王寺区の上町丘陵と呼ばれる
台地にあり、有数の進学校として知られている府立高津高校の
そばで、まわりには社寺・教育施設などが点在している、比較
的落ち着いた静かな環境である。

敷地は、三方が道路に接するＬ字型で、顔となるポーチ・玄関
は、西側にある南北方向に走る大通りと、北側にある東西方向
に走る中通りとがぶつかる隅切り部分にあり、勝手口・ガレー
ジのアプローチは、南側にある東西に走る小通りからとった、
Ｓ造地上３階建・陸屋根・露出防水シルバー仕上げの専用住宅
である。


特に
墓地・市場・学校のそばに、三回引っ越しをした「孟母三遷の教え」
の如く、クライアントは、子供の教育には良い環境が大切であり、
その環境を与えるために努力を惜しまないとの強い心の持ち主で、
建物の完成後に、留学中の子供ともども仲良く生活されている姿
を、計画の段階から強く「イメージ」して取り組むことが出来た
作品のひとつである。