2017年 11月の記事一覧

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17年11月24日 23時48分38秒
Posted by: macchan


エントランスホールを始め
すべての床に張られたライムストーンは、
ガラス屋根の木製調ルーバーと共に
ホール全体を柔らかい光で包み込んでいます。

ガラス屋根のスペースフレームでは
三角形を基本にした組み合わせですが、
床ではさらに六角形に変化して、
それがライムストーンの基本形となり、
吹抜や展示室の室内形状へと展開します。

三角形や六角形を平面に取り込むと、
どこかに破綻する部分といいますか、
スッキリ納めきれない部分が出てくるものですが、
この辺りは、さすが幾何学の魔術師・ペイらしく、
どこまでも、計算し尽くされた空間が続きます。

展示室内は撮影ができないのですが、
その基本形は、吹抜ホールにある
ベンジャミンのプランターにあります。

ペイが選んだこのベンジャミンは、
美術館の人々によって大事に育てられ、
20年たった今、ガラス屋根からの木漏れ日と木陰を
来館者に提供しています。

学芸員の従姉妹に教えられたギミックを一つ。
ライムストーンが張られた吹抜の壁ですが、
この中にライムストーン同色の着色をした
コンクリート打ち放しの梁が
現しになっている箇所があるということ。
これは説明してもらわなければ、
決して分からなかったことでした。

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17年11月22日 11時25分28秒
Posted by: macchan

ゆったりとした垂れ桜の道程、
ゆるやかにカーブしたトンネル、
繊細なケーブルで吊られた斜張橋。
下界から抜け出す仕掛けの向こうに
やっと姿を現す桃源郷・ミホミュージアム。
http://www.miho.or.jp/architecture/approach/

しかし、行き着いた建物の外観は、
従来の威容を誇るような美術館外観とは違って、
入母屋のガラス屋根に被われたエントランスホール、
この部分以外にほとんど見ることができません。

ここは、森林保安林や自然公園法第三種という
建築的制約が、もっとも厳しい地域なので、
建物の約8割が、山の中に埋め込まれています。

とっても、斜面側には信楽の特徴的な
重層する尾根の雄大な景色が、大きく建物に取り込まれています。

ミュージアムという展示物保管の観点からは、
湿気は大敵。8割が埋め込まれた美術館、
収蔵物は大丈夫だろうか?と
建築関係者には気になるところ。

そこには、ペイ独特の解決策が用意されていました。
建物と山とは斜めの擁壁によって
切り分けられることが一般的ですが、
ここでは、底版巾が極端に少ない直擁壁と
グランドアンカーいう前例の土木工事をおこなっています。
さらに、建物とこの擁壁の間を
ドライエリアという空間を設けることで、
山側からの湿気をシャットアウト・・・、
見えないところで、想像を絶する施工が為されています。

さらにその擁壁を覆うようにして、工事で掘削した山を
再現して、木々を植えて従前の景観に戻すという念の入れよう。

そのエントランスホールに入ると・・・・、
スペースフレームで支えられたガラス屋根全体から
溢れる出す柔らかい光が降り注ぎ、
来館者を包み込みます。

その基本形は三角形で構成されています。
この種の空間フレームは、ボールジョインと呼ばれる
球体からプレートが延びたジョイント部で構成されますが、
ここではそのボール状部分が腕プレートと同化して、
非常にスッキリとした納まりになっています。
これはすごいディテールで、
とにかく精緻な施工精度が要求されるので、
並の施工技量ではとても対応が困難納まりです。
http://www.miho.or.jp/episode/

ガラスの手前には、木製ルーバーがはめ込まれていますが、
これは金属フレームに木製調のフィルムを張っています。
ただしこのフィルムには凹凸が施されて、
まるで本物の木製フレームのようです。

エントランスホールには、手の届く部分ところまで
ルーバーが降りてきていますので、
是非、触ってみてください・笑


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17年11月09日 12時03分36秒
Posted by: macchan


滋賀県信楽にあるMIHO MUSEUM (ミホミュージアム)
http://www.miho.or.jp/architecture/approach/
学芸員に義従姉妹がいるため、
行きたいとは思っていたものの機会がありませんでしたが、
このミュージアムの設計者である
I.M.ペイ生誕100年とミュージアム開館20周年記念で、
建築家・磯崎新氏と藤森照信氏の対談があるとの知らせを受け、
これは、逃す手はないと行ってきました。

I.M.ペイ氏の建築は、学生時代に雑誌などで目にしましたが、
100歳でまだご存命なんですね。
グロピウス、ブロイヤーの元で近代建築を学んだ、
中国系アメリカ人の建築家ですが、
一般的には、ルーブル美術館改修計画での
ガラスのピラミッドといえばお分かりではないでしょうか。

その彼の建築は、日本のここ信楽にしかありません。
http://www.miho.or.jp/

このミュージアムのテーマは『桃源郷』
中国の古典、陶淵明の「桃花源記」に描かれ、
俗界から離れた仙境を示すようで、
このMIHO MUSEUMでも、
まさにそれを体感できる建築となっています。

レセプション棟で、チケットを購入して、
そこから、両側に垂れ桜が植えられた
ゆったりとしたカーブの道程を辿ると、
やがて山にぽっかりとあいたトンネルに辿り着きます。

このトンネルがまた、静謐に包まれ美しい。
http://www.miho.or.jp/episode/
カーブを描いているため、出口が見えません。
ステンレスの細かいパンチングメタルで覆われた内部は
自然光を反射しながら奧へと光を導き、
低い位置にある間接照明のみで、
銀色の世界を包み込んでいます。

ここには、春には垂れ桜の桜色に、
夏には、山の木々の緑色に、
秋には、紅葉の紅色に、
そして、秋分の日には軸線の西側からの夕日が
トンネル内に差し込んで黄金色に。。。

まさに、時空を超えるトンネル、
ここを通って、出口が見えてくると
美しい斜張構造の吊り橋のアーチ状ケーブル越しに、
入母屋のガラス屋根に被われたミュージアムが見えてきます。
まさに、俗界から離れて桃源郷に足を踏み入れた気分です。

当初予定された数箇所の敷地では、
ペイ氏はOKしなかったとのことで、
山を案内するうちに、道もなかったこの場所でなら
引き受けるというほどの山の中。

この橋も、山を貫いたアーチ状トンネルを出て、
反対側の沢の上に架かる橋で、
その向こうに、やっと建物敷地の山がある。

そんな場所に掛けられた吊り橋ですが、
これがまた、アーチ状に張られたケーブルが
美しい箇を弧を描いて橋を包み込みながら、
対岸の風景を切り取っています。

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