大人の詩島に蘇らせるために、
グランピングをイメージして設計した展望船デッキ。
こちらはバンガロー棟跡の斜面を活用して、
ゴロリとしながらの大村湾の風景を楽しむスペース。
http://atelier-m-architects.at.webry.info/201704/article_2.html

しかし、やはり詩島からの絶景を望むには、
ログハウス母屋棟の屋根の上からが一番の眺め。
現場検証で、屋根の上に登ると
北東方向に樹木がなく大村湾を望む絶景が広がっていました。

屋根の上にデッキを作る。
一見簡単そうに思えますが、
これにはそれなりの建築的準備が必要となります。

1.デッキを設置する屋根部分の構造補強
2.デッキ基礎の形状と防水処理
3.デッキ下地構造の検討
4.デッキ材と手摺材の選択

1.デッキを設置する屋根部分の構造補強
ログハウスの平屋の屋根。
その上部に積載物を載せるには、その荷重に建物が追随できるかが重要。
ログハウスの基礎をチェックすると、
必要かつ充分な鉄筋コンクリート造の基礎形状、
この辺りは35年前にいかにしっかりとした
施工がなされていること感じました。
タル木は通常寸法40×120でしたので、
デッキ脚部下となる部分に、
新たに120×120のタル木を挿入して、
さらに、その荷重を受ける既存丸太梁下に、
米松集成材梁120×240を加えて、
新たに加わる見晴らしデッキの積載荷重に対応しています。

2.デッキ基礎の形状と防水処理
荷重対応と共に、もう一つ重要なのか防水対策。
屋根上にデッキを製作するには、その基礎となる部分が必要で、
それは、屋根にしっかり留められている必要があります。
留めるということは、ボルトで穴を開けるということ、
つまり、雨漏れの原因となる穴が開きます。

ここをいかに防水処理するかということが需要となります。
今回は、200×200×50~83の斜めの桧土台を加工し、
これにキシラモン+キシラデコールの防腐防虫処理、
屋根と接する部分には、粘着性ゴムアス防水を二重張りし、
その上に基礎パッキンを介して桧架台を載せ、
コウチスクリューを打ち込みますが、屋根部と上部にも
Wでコーキング処理をおこなっています。
ここで需要なのは基礎パッキンで架台を浮かせていること。
密着していては、毛細管現象による雨水滞留が起こりますし、
浮かせることで雨水を流して、架台下部の乾燥が確保できます。

3.デッキ下地構造の検討
これは、私の島シリーズ(八丈島、沖縄久米島)で培ってきた
単管を接続金物で組み上げていくシステム。
こちらのジョイント工業さんの金物を使用しています。
http://www.ashiba-pipe.com/


今回は、15種類、約500個の接合金物が使われていて、
組み立て図と拾い表を設計していますが、
このシステムでは、設計者がおこなわなければならない必須作業です。
単管は足場にも使用されているものですが、
溶融亜鉛メッキされた肉厚1.8の高張力炭素鋼鋼管を使用しており、
通常の単管肉厚2.4より25%軽く、施工性を上げています。
沖縄でも使用しましたが、沿岸部ではステンレスでも錆が発生するので、
逆に溶融亜鉛メッキ鋼の方が優れていると沖縄では常識となっています。
そこにさらに、VP塗装をすることで、さらに耐候性を高めています。


4.デッキ材と手摺材の選択
単管の構造フレームの中に、木材の受けとなるプレートが
各部に挿入されていて、そこにセランガンバツー厚30×105を
根太材とデッキ材にして、デッキ、ベンチ、テーブルを構成。
手摺部には厚20×90を使用しています。

こうした万全の構造的・防水的な処理と施工技術が、
詩島の見晴らしデッキを支えています。

大改造!!劇的ビフォーアフター2017.4.2 OA.
長崎・さだまさしの詩島再生計画
http://www.asahi.co.jp/beforeafter/d00185gksw.html

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 ・・・どうも、ありがとうございました。

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