2010年 8月の記事一覧
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飛騨高山の住宅に共通する窓と言えば
ご覧のような連子窓(れんじまど)。
これは、細い角材を竪または横に
並べて組子とした窓のことで、
歴史的には飛鳥時代の仏寺に
初めて現れたと考えられています。
こうした格子窓は、適宜に日照を調整する効果と
往来近くの窓から内部を見にくくする
プライバシー効果があります。
さらに、簀戸と呼ばれる小丸竹を
隙間なく組んだ建具と併用したり、
よしずを内側に掛けたりして、
夏の涼を取るための手段としても使われ、
日常生活に大変役立つ窓となっています。
格子した窓が連続するまちなみが、
独特の風情ある表情を創り出しているんですね。
この窓の内側は、よく見ないと分からないのですが
巾のある縁側であったり、
わずかな巾の縁台であったり、
簀戸を全面に付けていたり、
障子戸があったり、・・・・
こうした、その背後にある様々な
住まいの様子が感じられて、
見ていて飽きないですね。
また、最後の写真にある建物の下に
竹を弓状に反らせて組んだものは犬矢来。
これは、建物の外壁の腰壁、
つまり、庇によって防ぎきれない雨がかり部分を
保護するために設ける囲いです。
名前から、犬のおしっこから保護するという
意味合いもあるとの説もありますが、
本来は、外壁の保護でしょうね。
しかし、これがまた美しいんですよ。
こうしたまちなみの中では、
円弧状の曲がった要素が見当たらないので、
その優雅さが一層引き立っています。
こうした伝統的なまちなみでは、
一つ一つの構成部材にも、その理由があり
そうしたパーツに目と向けて眺めると
ひと味違った楽しい散策となりますね。
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昨日、うだつの説明をおこなったこの住宅、
実は、重要文化財の吉島家。
代々生糸や繭の売買から金融、
酒造業を営んだ豪商の家で、
軒の杉玉は、この酒造業にちなんでのものです。
正面のちょっと玄関とは分かりづらい
小さな潜り戸をくぐると
そこには想像だにしない
見事な吹き抜け空間が広がっています。
それが、この2枚の写真。
棟まで通った1本の大黒柱と
格子状に組まれた梁組みの見事さ、
それを際立たせる天窓や側窓から
差し込む幾筋の光が
この空間構成をさらに引き立てています。
この黒光りする柱や梁、
実は漆を塗って仕上げられています。
このために、すべての梁が
丁寧に鉋で仕上げられているのです。
土間と座敷を包み込む大空間には
囲炉裏をきった離れ的な座敷など見所満載。
この座敷に座り込んで、
囲炉裏端でこの空間を見上げていると
しばし、いにしえの刻にタイムスリップ。
ゆったりとした時間の流れに
身を置くことができます。
最初の写真の右手が道路側なんですが、
その上部の壁の背後には
中2階的な座敷が用意されて、
ちょっと低めの勾配天井が
隠れ家的な落ち着いた雰囲気を創り出しています。
奥の1段高い和室もその天井が
少し見えていますね。
また、右手の障子を開けると
低く連続した連子窓越しに
通りの風景を垣間見ることができます。
この建物は実は、3代目。
明治時代に2度火災で焼失しているのですが
明治40年に再建されたものが
残って今に続いています。
現在、重要文化財である吉島家の
素晴らしさを発見して、絶賛したのは
チャールズ・ムーアという建築家。
こちらの『シーランチ』は私好みの建物。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/f_051112.htm
この素晴らしさを認めたのが
米国の建築家というのも、
日本人としてちょっと、複雑。
高山にお出でかけの折りは、
是非立ち寄って、この空間を体感して下さい。
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実は、重要文化財の吉島家。
代々生糸や繭の売買から金融、
酒造業を営んだ豪商の家で、
軒の杉玉は、この酒造業にちなんでのものです。
正面のちょっと玄関とは分かりづらい
小さな潜り戸をくぐると
そこには想像だにしない
見事な吹き抜け空間が広がっています。
それが、この2枚の写真。
棟まで通った1本の大黒柱と
格子状に組まれた梁組みの見事さ、
それを際立たせる天窓や側窓から
差し込む幾筋の光が
この空間構成をさらに引き立てています。
この黒光りする柱や梁、
実は漆を塗って仕上げられています。
このために、すべての梁が
丁寧に鉋で仕上げられているのです。
土間と座敷を包み込む大空間には
囲炉裏をきった離れ的な座敷など見所満載。
この座敷に座り込んで、
囲炉裏端でこの空間を見上げていると
しばし、いにしえの刻にタイムスリップ。
ゆったりとした時間の流れに
身を置くことができます。
最初の写真の右手が道路側なんですが、
その上部の壁の背後には
中2階的な座敷が用意されて、
ちょっと低めの勾配天井が
隠れ家的な落ち着いた雰囲気を創り出しています。
奥の1段高い和室もその天井が
少し見えていますね。
また、右手の障子を開けると
低く連続した連子窓越しに
通りの風景を垣間見ることができます。
この建物は実は、3代目。
明治時代に2度火災で焼失しているのですが
明治40年に再建されたものが
残って今に続いています。
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素晴らしさを発見して、絶賛したのは
チャールズ・ムーアという建築家。
こちらの『シーランチ』は私好みの建物。
http://www.tv-tokyo.co.jp/kyojin/picture/f_051112.htm
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米国の建築家というのも、
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昔、飛騨高山を訪れた際の写真を元に、
今なお受け継がれ、住み継がれている
伝統建築について考え、
その魅力をお伝えしたいと思います。
先人の知恵、温故知新の精神で・・・。
まず、最初の写真をご覧下さい。
どっしりとした、重厚な造りの外観と
軒先にぶら下がる杉玉。
古来、寒造りの新酒ができると
青々とした杉の葉を束ねて球形にしたものを
軒先にぶら下げて、酒造の神のご加護を願う
風習があり、これが造り酒屋の看板となっています。
造り酒屋といえば、酒蔵があり
いわゆる豪商となるわけですが、
その建物をよく見ると
建物の側面に屋根よりも
一段高くなった漆喰塗の厚い壁が
立ち上がっているのが分かります。
この屋根のついた厚い壁は、
町屋などの隣り合って連続して
建てられている場合に
隣家の火災が、燃え移るのを防ぐ
防火壁の役割を担っている壁で、
うだつ(卯立、卯建)と呼ばれます。
これを創るにはそれなりの費用も掛かるため
比較的裕福な家に設けられることが多かったようです。
この、う・だ・つ、
どこかで聞いたような気がしませんか。
そう、うだつがあがらないという言葉。
地位・生活などがよくならない、ぱっとしない、
先の見込みがない時に使いますが、
その語源が、この防火壁に由来するとも言われます。
最後の中庭からの写真ですが、
左手奥、2階屋根の上に少し見えるのが
内部から見た、うだつの様子です。
こうした言葉からも、
住まいと生活習慣の密接した関係が伺えます。
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