2010年 9月の記事一覧
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屋根を葺き替える工程は大きく4つ、
屋根むくり、簀の子かけ、
茅ふき、肩切りに分けられます。
前回は屋根むくりまでをご説明しましたが
これは、屋根を支える合掌の点検、補強でしたね。
それが終わると次は簀の子かけ。
これは、葺き作業の際に、
茅が合掌の内部に踏み込まれないようにするため、
屋根全体に簀の子をかけるという作業のこと。
これが終わると、いよいよ茅ふきが始まります。
束になった茅を多くの人達が
次々と手渡しをしながら、
下から上へと順番に葺き上げていきます。
この茅ですが、大屋根では1万束以上、
これは4トントラック20台以上に相当するという
莫大な量が必要となるのですが、昔は自給自足。
山の焼畑で栽培して地元でまかなっていましたが、
今ではそれだけの茅を栽培する人手は、
当然ながら望むべくもなく、
近隣の村々から購入してまかなっているとのことです。
こうして、多くの人々の協力と材料によって
吹き終わった屋根に、最後の重要な作業が肩切り。
これは、合掌屋根の妻部分に鋏を入れて
切り揃える作業なのですが、熟練の技が必要で、
これによって、外観の見栄えを良くすると同時に
風から屋根を守る、つまり風を良く切るという
重要な役割があります。
こうして、茅葺きの屋根が葺き替えられるのですが、
1年以上の準備と多くの人達との作業を支える
この【 結 】という共同作業制度。
ここ白川郷の景観、いや生活文化を支えている
この仕組みも、白川郷以外の村々では
世代交代と共に薄れてきているのも
また、事実のようで、
こうした協力や茅が確保できないために
泣く泣く、鉄板で被われた屋根に
葺き替わっていくという所も多いのです。
今回、たまたま
茅葺き替えの民家を見ることができましたが
この民家では、専門業者の方々が
作業している風景の写真です。
こうした、伝統を今に伝えるのは
非常に大変な苦労です。
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合掌造りを被う屋根というと、
皆さんご存じの茅葺き。
この葺き替えをおこなうために、
白川郷には結という独特の仕組みがあります。
これは、地域住民の労働力提供による共同作業制度で
昔から屋根に関わらず、生産や生活全般に渡る
重要な役割を果たしてきました。
現在は、住民の生活も多様化していることから
屋根の葺き替え作業のみに機能しています。
大きい屋根葺き替えでは
2~400人ほどの人手が必要で
これだけの人々が丸々1日かけてでおこなわれますが、
前日の作業も入れても2日で終わるというのは
ちょっと、驚異的です。
一説には費用換算で¥3000万とも言われます。
白川郷でも有数のお住まいの葺き替えが
NHKドキュメンタリーで放送されましたが、
まず、準備だけでも約1年前から行われます。
親族による寄合に始まり、
約1万2千束の茅の準備と熟練経験者を中心に
当日の屋根葺きにあたる役割や配置、
また、当主が屋根葺きへの参加を頼みに
一軒一軒の家を廻る<結願い>。
こうした周到な準備と住民同士の協力によって
大規模な葺き替えが、たった2日で終わるのです。
屋根を葺き替える工程は大きく4つ、
屋根むくり、簀の子かけ、
茅ふき、肩切りに分けられます。
まず、最初に行われる屋根むくりについて。
これは、古くなった茅をめくり取り、
合掌だけの状態にする作業です。
ここで、骨組みを点検し、
清掃したり、合掌のズレを直したり、
前回説明しましたマンサクという蔓で
結び直したりして、下地づくりを
しっかりおこなっておきます。
これが、翌日におこなわれる茅葺きをスムーズに
進めるための重要な作業となるわけです。
これらの作業は、主に親戚や組内でおこないます。
次の日の茅葺きの作業では、
ボランティアの人々と共に、
一気に大屋根を葺くことになります。
その辺りは次回にして、
ちょうど白川郷で小さな茅葺きが
おこなわれていましたので、
その写真を最後に。
これも、結構大きいのですが
白川郷の中では小さい部類なのです。
そして、最初の写真にある家が、
江戸後期の建築で最大規模となる和田家です。
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白川郷の景観を象徴しているのが
300年近くも住み継がれている
合掌造りと茅葺き屋根。
今回は合掌造りについてお話ししましょう。
大切妻の屋根は、そのすべてが小屋裏となっていて、
そこは何層にも区切られ、
おもに養蚕、つまり生糸をつむぐ元となる
カイコの育成場となっています。
この大きな小屋組みが合掌造りであり、
その下、つまり1階の軸組みによって
部屋割りされた部分が居住区となっています。
つまり、上(小屋裏)と下(1階)では、
まったく違った構造となっていて、
その昔は、1階の軸組みを大工が
小屋裏は、村民の手で造っていたとのことです。
また、その中には、牛馬の飼育室や作業場なども
含まれていますので、
いかに、大空間が形作られているかが分かります。
中に入ってみると、
居間や食堂の中心に必ず囲炉裏が
設置されていることに気がつきます。
この囲炉裏から出る煙は、
天井の穴や隙間を通って、
小屋裏の隅々まで行き渡るようになっていて
養蚕部屋の暖房と
屋根の構造材である丸太をいぶして、
木材の保護するという二役をになっています。
この太い丸太は合掌桁と呼ばれ、
これを正三角形に幾層にも組むことで
重心を左右に分散した、安定した構造となります。
この外側に横木や縦木を通して
骨格を造りますが、その部材同士を結びつけるのは
マンサクと呼ばれる柔軟性に富んだ蔓性の木を
もちいて縛り付けられていて、
これは年月を経ることに
締まってくるようになっています。
その他にも、車知栓(しゃちせん)と呼ばれる
木製のくさびなどが使用され、
釘や金物が一切使われていないにもかかわらず、
非常に強固な構造体が造られて、
数百年の風雪に耐えている、
まさに、先人の知恵の結晶なのです。
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ドジョウすくいの踊り『安来節』で有名な
島根県安来市にある足立美術館。
http://www.adachi-museum.or.jp/ja/garden.html
美術館でありながら周囲に6つの庭があり、
それぞれに庭を内部の窓を
額縁代わりにして、まるで絵画のように
見せる手法で、有名です。
1998年創刊のアメリカの庭園専門誌
「Journal of Japanese Gardening」。
http://www.rothteien.com/
日本、アメリカ、オーストラリアの
専門家が毎年数百にも及ぶ
日本各地の庭園を視察して
「日本庭園ランキング」を決めています。
足立美術館は、この「日本庭園ランキング」にて
桂離宮や二条城などをおさえて
2003年から7年連続日本一の評価を受けています。
地方美術館でありながら、世界に発信する・・・、
こちらも、日本美の再発見です。
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八条宮初代智仁親王と二代智忠親王によって、
1615年頃から約40年を費やして
八条宮家の別荘として造られた桂離宮。
簡素にして、明快な建築と庭園は、
日本建築の不朽の名作として、来日したドイツの建築家
ブルーノ・タウトによって賞賛されました。
その書院の雁行した特徴的な配置計画は、
それぞれの部屋からの月見を考えたものといわれ、
高床式の構造は、桂川の氾濫に備えて、
床下の防湿と通水を考慮するなど、
実用性と美観が一体となっています。
また、その庭園の自然石・樹木・畳石などの配置に、
西欧手法の遠近法・見透線に影響を受け、
こちらも、明快なデザインの新しい
造園手法た取り入られています。
また、松琴亭の襖や床の間で使われている
青と白の市松模様は、目にも鮮やかな配色で、
見る人に斬新で、かつ清新な印象を
与える空間となっています。
桂離宮の見学には、事前に
宮内庁HPで予約する必要があります。
皇居、京都御所、仙洞御所、修学院離宮も、
同様な措置がとられています。
桂離宮の全体・部分解説は、
下記のページにある施設案内ビデオからご覧ください。
http://sankan.kunaicho.go.jp/guide/katsura.html
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