2016年 4月の記事一覧
今回の宮里家のリフォームの発端となった赤瓦屋根の雨漏り。
「雨も土も降る家」
http://asahi.co.jp/beforeafter/d00170dlfa.html
一段目のし瓦、二段目雄瓦が埋め込まれて創り出される隅棟瓦。
その先端に取り付くのが、隅鬼瓦。
これの取り付けは、一段目のし瓦の段階で、
後ろに針金を付けて、のし瓦の上にしっくいで取り付け、
その上に、雄瓦が乗せられて固定されます。
また今回は、90歳の祖母の住まいの出入りを楽にするために、
家族用の玄関にスロープを設けることにしましたが、
そこには、超えなければならない問題が。
スロープでアプローチできるように
玄関部分の軒先高さを上げる必要があるため、
赤瓦の寄棟屋根の一部の勾配を緩くして、持ち上げています。
この部分を赤瓦でどのように納めていくか、
野地板の納まりをあとで調整できるように、
大工さんには、ケラバ野地板を延ばしておいてもらい、
屋根施工の八幡瓦工場さんの職人さんと、
現地で、側面をどのように納めるかを検討。
その納まりに合わせて、大工さんがケラバの出をカット、
側面は、S瓦の雌瓦部分を割って、
板状にして側面壁に張るようにしました。
大工さんと瓦職人さんの協働作業で、
あまり見かけない屋根納まりを実現することができました。
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琉球S瓦の平場部分が葺き終わると、
今度は寄せ棟の4つの各棟を押さえる隅棟瓦を乗せます。
まず取り出されたのが、巾40cmほどの木枠。
これを隙間の空いたままの隅棟に合わせてのせ、
そこにしっくいを入れていきます。
この入れ方が独特。
S瓦が斜めに割られて部分を埋めるようにして
詰めていくのですが、その間に隅用に割った瓦の破片を
一緒に詰めていきます。
これは、廃材を出さないようにするためと、
より高くしっくいを積み上げる土台としての工夫。
その上に、さらに二段目を乗せるので、
一段目がしっくいだけだと、どうしても内部が固まるまで
時間をおかなければなりません。
二段目の台を作ったら、そこにのし瓦を置いて、
さらにしっくいで埋め込んで、
最後に見える部分の雄瓦を乗せて、
廻りをしっかりとしっくいで塗り固めていきます。
このようにして、あの重厚で一段と高くなった隅棟瓦ができあがります。
同様にして、再頂部の棟も施工されて、
屋根の棟部分をしっかりした重量で押さえて、
沖縄の超台風の暴風にも瓦が飛ばない、
しっかりとした琉球赤瓦の屋根ができあがります。
塗っている最中のしっくいは、土色をしていますが、
これが乾いてくると、あの真っ白なしっくいに変わります。
琉球赤瓦の葺き替え作業、本当に貴重な経験をすることができました。
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今回の宮里家のリフォームの発端となった赤瓦屋根の雨漏り。
「雨も土も降る家」
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前回、下地の横桟の話をしましたが、
ご覧のような渦巻き状の材料を使用しています。
これは、横桟を杉野地板にビス留めする場合に、
そこからの漏水を防ぐための止水パッキン材です。
よく見ると、横桟の横にちょっと飛び出しているのが見えます。
さて、今回の葺き替えに使用するのはS型赤瓦です。
瓦葺きは軒先から葺き始めますが、このS型は
ご覧のように横桟にビスで固定していきます。
軒先瓦は、雄瓦部分に1本、雌瓦部分に2本の計3本、
一般部は、この雌瓦部分の2本留めです。
また、すべて固定していくのではなく、
葺く流れ方向の位置を、水糸を張って確認しながら葺いていきます。
こうして、屋根瓦が吹き終わると、
今度は、棟瓦を作りますが、これが強風の吹き荒れる沖縄で、
赤瓦を押さえるのに、重要な部分となります。
その辺りは、次の工程でご説明します。
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今回は赤瓦の葺き替えにあたり、
その遮熱性能をそのままに、施工性を高めることができる
S型瓦への葺き替えをおこないました。
これにより、従来より屋根重量を軽減して、
構造躯体への負担も少なくするようにしています。
マングローブのタル木や南洋材の柱梁など、
その貴重な小屋組架構を現しにして、
一番座・二番座・三番座・裏座という変えられない空間構成に
広がりを与え、併せて新たな通風環境を創り出すために、
杉板厚30×200mmをタル木全面に施工する事にしました。
この杉板は濃くなっていますが、これは防虫防蟻処理材のためです。
その内容は、こちらをご参照ください。
琉球赤瓦屋根施工プロセス3・葺き替えと通風環境の検討。
http://atelier-m-architects.at.webry.info/201603/article_9.html
この上に、ゴムアス付きルーフィング粘着付き厚1.0
そして、S型瓦用の杉横桟を取り付けて、
やっと赤瓦施工準備ができあがるということになります。
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沖縄の伝統的な古民家の琉球赤瓦の葺き替え、
その下地となっていたのは昔ながらの土葺きで、
下地の野地が竹編みでした。
竹編みの野地の上に、土を乗せ、まず雌瓦を載せます。
次に、その雌瓦の隙間に土を載せて、雄瓦を被せます。
そして、その雄瓦をしっくいで固めます。
そして、その土葺きの屋根を支えるタル木はマングローブ。
その中でも、比較的真っ直ぐ生育するオヒルギが使われています。
これは、西表島から伐採され、搬入されてます。
しかしながら、今はそのマングローブの森は天然記念物に指定、
さらに西表島の島全体にも国立公園となっていますので、
自由には採ることができなくなっています。
こうして屋根の構成を見てみると、
マングローブ、竹・麻紐・土・しっくい・赤瓦、
すべて沖縄の自然の中にある素材を加工してできています。
しかも、これで強烈な台風の風、太陽から熱から、
住まいをしっかりと守っているのですから、
先人の知恵に、ただただ圧倒されます。
野地の竹編みだけとなった構造躯体、
内部から見上げたときのその美しさは格別でした。
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