住まいのリフォームを考える背景とは?
投稿日:2018年07月08日日曜日 11時18分18秒
投稿者:アトリエMアーキテクツ カテゴリー: アトリエMアーキテクツ
朝日放送の大改造!!劇的ビフォーアフターという番組によって、
リフォームという言葉が世の中に浸透したように感じます。
番組のおかげで様々な条件のリフォームを経験させて頂く中で、
コスト・構造・住まい方について貴重な経験をさせていただきました。
番組放映後は、様々な問い合わせを頂くわけですが、
一口にリフォームすると言いましても、
なかなか一筋縄ではいかないのが現状です。
今回は、その問題点を少し整理して、皆さんの判断の
一助としていただければ、幸いです。
まずリフォームを考えるときの段階として、大きく3つに分けられると思います。
1.生活環境の変化に対応するための内装や設備の
更新を目的としたリフォーム。
2.来たる大地震に備えて、最低限、倒壊しないような
耐震補強を前提とするリフォーム。
3.大地震に遭遇しても、その後に住み続けられる住まいを目指すリフォー ム。
ケース1.生活環境の変化に対応するための内装や
設備の更新を目的としたリフォーム。
これは、基本的な構造が現在の新耐震基準に適合した
建物ということが前提になると思います。
つまり、1981年(昭和56年)の新耐震基準以降に建設された
2018年段階では築37年以内の建物ということが一つの目安になります。
しかし当然のことながら、内装を剥がした後に構造、
主に接合部や筋交いが手順通りに施工されているかを
目視でチェックすることが大事です。
また、既存壁を撤去して広い空間にする場合は、
撤去後の耐力壁の壁量で構造計算を検討し直して、
追加の補強をすることになります。
築年数の古い住宅をこの視点でのみリフォーム使用とすることは
避けるべきで、耐震補強とセットで考えるべきだと思います。
ケース2.来たる大地震に備えて、最低限、
倒壊しないような耐震補強を前提とするリフォーム。
これは、築37年以上の古い建物で、早急に耐震補強する
必要がある場合ですが、予算の制約から大々的な補強まで
手が回らないケースが考えられます。
基礎自体がない、外周のみ基礎があるが無筋(鉄筋が無い)、
基礎は一応あるが現在の基準に適合しない。いずれの場合も
基礎からやり直す必要があるのですが、そこまで予算はかけられない。
ではどうするかといいますと、上部構造が倒壊しないよう
筋交いを増やしたり、構造用合板を張り増して、
在来を箱のように補強して倒壊しないように工夫します。
また、屋根が瓦の場合は金属板 に変更して柱・梁にかかる
荷重を軽くしてやることも有効です。
現在は免震・制震ダンバー式の製品が数多くあり、
これを利用する手もあるでしょう。
しかしながら、これですと基礎が破壊されたり、
補強した一部躯体部分は大丈夫でも、地震後に建物にダメージが残り、
その後住み続けるためには、再度基礎や躯体補強を
おこなうことになります。
つまり、資産価値はそこでなくなってしまう可能性が
高いリフォームとなってしまいます。
ケース3.大地震に遭遇しても、
その後住み続けられる住まいを目指すリフォーム。
これは2.のケースで、基礎・木造部分を併せて補強をおこなうことで、
地震後も住み続けられる資産価値の残るリフォームをおこなうこと。
言葉を聞けばこれが一番と誰もが思われるでしょうが、
これではかなりのコストを覚悟しなければなりません。
通常、リフォームを考える場合に新築するのとどちらが
有利かと検討すると思いまが、ビフォーアフターでおこなわれる
物件の大半では、リフォームしか選択肢がありません。
これは現在の建築基準法に適合していない既存不適格建物と
呼ばれる住宅が多いからです。
実はこうした住まいは、大都市圏の住宅密集地域と呼ばれる
地区に数多く存在しています。
公道に2m以上接していない、本来の道路に接していない
(私道、無接道)、建て替えると大幅に建物を
小さくしなければならない(建坪率、容積率超過)。
これらは、1950年(昭和25年)の建築基準法施行前に
存在していた築68年以上の建物に多く見られます。
このようにリフォームを取り巻く状況は複雑です。
子どもが独立して、それを踏まえて今後の夫婦だけの
生活を考えるというケース1.のようなリフォームは
稀であるかも知れません。しかし、逆に1.しか頭になかったということも多いのです。
皆さんの目指すリフォームとは、どれにあたりますでしょうか。
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・・・どうも、ありがとうございました。
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