2021年 5月の記事一覧
基礎工事着工前におこなう詳細設計のお話しの続き。
3. 外部給排水雨水経路の確定と雨樋竪樋位置
4. 基礎下給排水衛生ガス冷暖房配管位置
今回の構造は枠組み壁工法ですが、
パネル化でおこなうため、2日間で一気に屋根までできあがります。
その前段として床工事がおこなわれるわけですが、
その時には、すべての基礎下配管を終えておきます。
また、建て方をおこなうためには、
先に外部足場を先行設置する必要がありますが、
その前に、外部および内部の配管工事を終えておくということです。
なぜかと言いますと、外部足場を設置してしまうと、
今度その足場を外す時は、屋根や外壁が終わったあと、
つまり、住まいの竣工が近い時期となります。
当然、竪樋の設置や基礎の巾木の仕上げも終わっているので、
その傍で土を掘り起こして配管工事をおこなうと
汚れや傷の元となりますし、何よりも、
竣工間際のバタバタした状況での外部工事は、
外構だけにしておきたいところです。
しかし、これらは副次的なことですが、
主たる目的は、床下の断熱性能を設計通りに確保するためです。
今回の住まいの省エネルギー性能は、
・外皮平均熱貫流率:0.48 W / ㎡K
・平均日射取得率:ηAH 1.4 ηAC 1.7
・BEI:0.76
という平屋主体の不利な条件にも関わらず、
高断熱性能を有しています。
そのため、床断熱材ネオマフォーム厚80mm、
床構造用合板厚28mm。
これに対して、床下配管の立ち上がりを
最小限の欠き込みでおこなうためには、
事前に床下配管を所定の位置の床上に出しておき、
床下施工時にピンポイントのみの開口処理で
納めることが必須となります。
そうでないと、80mmの断熱材を後から穴掛けとなると
その周囲の断熱材までも欠損することとなります。
よく、あとで現場発泡ウレタンを充填するから大丈夫という
話を聞きますが、これを完璧することは、難しいですし、
その確認を目視するためには、床下に潜ってすべて点検することになり、
これは不明瞭であり、性能を担保できることになりません。
第一、そんな床下で作業すること自体が無駄な労力です。
床の構造用合板厚28も含めれば
108mmの穴開けとなりますから、
あらかじめ床上までの先行配管をして、
床設置時に、最小限の穴開けで断熱材・合板をカットして、
さらにそれでもすき間の多い箇所には、
現場発泡ウレタンで充填する。
こうして、やっと上記の断熱性能を有した床を確保することができます。
設計上の性能をいかに現場で達成することができるか、
これは、設計者の現場監理技量に掛かっているわけです。
もちろん、建築施工者、設備業者、電気業者の各職方さんとの
事前打ち合わせや連携は、言うまでもありません。
綺麗に仕上がった床下・・・、
見えないところこそ、綺麗に仕上げる・・・
まさに、スティーブジョブズの精神ですね。
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基礎工事着工前におこなう詳細設計のお話しの続き。
2. 基礎パッキン、気密パッキン位置
2.の基礎パッキンですが、現在の住まいの仕様では
昔のように基礎に換気口を設けることはありません。
すべての土台下に基礎パッキンという通気パッキンを入れて
浮かすことで、土台と基礎コンクリートが接することがなく、
乾燥が確保されると共に、土台下が通気口となっています。
基礎換気口が無いということは、基礎強化にも繋がります。
外周部は連続したロングタイプを使用して、
内部は、ブロックタイプを使用します。
注意する点は、玄関や勝手口、浴室の土間部分のように
基礎部分が内部に出てくるところ。
土間が下がることで、内部となりますので、
ここから空気が入ると困りますね。
このため、その部分には気密パッキンという
通気ができない構造のパッキンを使用します。
これを取り違える外気が土間部分に流入することになります。
あまり間違えることは無い箇所ではありますが、
確認することは重要です。
写真の右側が浴室廻りの気密パッキン、
左側が床下通気用の基礎パッキンです。
今回の床組仕様は、
桧集成材の土台・大引きと鋼製束の構成で、
材種が桧材のため、床下の防蟻処理を不要としています。
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