今年もあと二日となりました。
来年は足掛け6年となるお住まいの集大成。
このお住まいの敷地を初めて訪れたのは
2017年10月、もう4年前となります。

築200年の蔵、3回の増築を重ねた木造の住まい、
鉄筋コンクリート造の住まい、
そして歴史を重ねた樹木と庭石と大ケヤキ。
それら積み重ねた歴史がそこかしこに、
それぞれの世代の想いと共に降り積もっておりました。

単に、新しい住まいを設計するのではなく、
それをどのように整理し、取捨選択し、
次世代にどのように再構築して残していくか。
住まい手の想いと、その将来を紐解くための刻が、
あれからの4年間の作業でした。

来年2022年、いよいよすべての作業の完成を迎えますが、
約2年前に移植された樹木や解体された住まいの木材が
続々と想い出の地に戻ってきました。
樹木の中には、造園屋さんの手入れの甲斐もなく、
夢半ばで枯れてしまい、戻れなくなった木もありますが、
ほとんどは、元気に成長して戻ってきました。

木材は大切に保管され・・・といっても、
この2年間で静岡県中部3箇所を移動して、
施工者さんや建具屋さんの作業所で、
洗いと研磨を経て、見違えるように生まれ変わり、
新しい住まいの一角を、
新たに加えられた木材と共に担ってくれますが、
その歴史を積み重ねた材の存在感は素晴らしいものです。

 

また、広い庭に点在していた庭石ですが、
主役ではなかった多くの庭石には、
新しい住まいの南庭・中庭・西庭の3箇所に、
それぞれの役割が与えられて再配置され、
今度は、それぞれ主役となってもらいます。

来年早々にレイアウトを仮置きする中庭も見所。
こうして来年2022年、あしかけ6年の仕事が
いよいよ最後の佳境を迎えます。
終盤の作業はすべて見え掛かり部分を担うため、
これまで以上に、どれ一つとして気が抜けませんが、
どうぞよろしくお願いします。

アトリエMアーキテクツの仕事・築200年の蔵改修
・所在地:静岡県島田市
・主要用途:ギャラリー 収蔵庫
・敷地面積:—
・延べ面積:西蔵100.54 m2 東蔵65.69 m2
・構造補強・外壁改修・内部リフォーム
・竣工:2020年12月
・構造:土壁在来工法
・施工:静鉄ホームズ

・築200年の蔵改修物語・その1補修計画
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202012/article_1.html
・築200年の蔵改修物語・その2構造補強
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202012/article_2.html
・築200年の蔵改修物語・その3漆喰壁改修
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202101/article_2.html
・築200年の蔵改修物語・その4下屋屋根改修
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202101/article_2.html
・築200年の蔵改修物語・その5漆喰板戸建具改修
https://atelier-m-architects.at.webry.info/202102/article_1.html

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