2009年 5月の記事一覧

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09年05月29日 21時20分59秒
Posted by: nobushi
 朝、福島から会津へ。福島は夜半から雨、途中の土湯峠は霧と雨で視界が極端に悪かったが、会津は路面も濡れておらず薄陽がそそいでいた。

 前回ブログで入学当初、製図の成績が悪かったことを書いたが、設計を職とする立場で、経営上支障があるとのクレームがあったので、少し付け加えます。

 様々な理由から、生まれ故郷・福島県郡山市にある日大工学部建築学科に入学した。当時(今がどうかは分らない)建築学科には2つの道を通ってきた学生がいた。①高校時代建築科だった学生、②高校時代普通科の学生である。①の学生はすでに3年間建築設計を学んでいる。②の学生は大学に入り始めて設計製図を学ぶ。そこには4年生と1年生位の差がある。野武士新入生は②であり、おまけにさほど建築に興味のないまま進んだ学生である。そして致命的な弱点もあった。実力の差は歴然。しかしこの屈辱の時代が良かったのではとも思う。挫折があってこそ、それをバネに成長できるのではないか。その4年後に設計製図を指導する立場になるとは入学当時は夢にも思わなかった。

 妙なことを思い出す。
 入学するとすぐ様々なサークルの勧誘の時期となる。新入生の授業が終わるのを教室のある講堂前で先輩諸兄が待ちかまえてサークル勧誘。時として純粋無垢な新入生にとって脅威と感じるほどであった。
 ところが野武士新入生、勧誘をあまり受けない。嫌われていたのか、新入生でなく留年生と思われたのか不明なのだが、とにかく誘ってくれない。なんとなく物足りない新入生勧誘期間であった。
 当時の野武士新入生、髪は伸ばし放題で年齢より老けて見え、おまけに生意気そうだったと思われる。
今でも変わらないと言われそうであるのだが。
09年05月19日 20時14分01秒
Posted by: nobushi
 誕生日プレゼントとするため、10年ぶりに絵を描いた。個性的な人物画となり、本人が喜ぶか否かは微妙な状態。忘れていたことだったが、どうもそれほど上手くないようだ。日曜日から今日にかけ、心をこめ描いたのでその意気込みに免じて勘弁してもらおう。

 思えば、絵を書くことが好きという理由だけで建築を志した。コルビジェよりもジュリーに憧れ、ライトよりブルース・リーが好きだったし、サグラダ・ファミリアを桜田淳子の家族と覚え試験に臨んだものだ。実は僕は建築を学ぶより大学生になりたかったのだと思う。

 そんな感じなので、初めての設計製図課題(レタリング)の評価はC゜。担当教授は「B以下の者は設計者を志すことはあきらめた方が良い」と言う。しかし上位学生の作品を見ると、その評価を納得せざるえない現実があった。
 しかし下手ではないはず。中学の同級生達は僕の描く絵(漫画)に驚嘆したではないか、美術の先生も「他の人にはないモノがある」と言っていた。しかし「上手い!」とは言わなかったような・・。思いおこせば僕の絵は市で入選したことはあったが、それ以上のことは無かった。もしかしたら大きな勘違いをし、踏み出したのかもしれない・・と、作品が並ぶテーブルの前で思った。

 そのショックを友には気付かれぬよう、「俺には学生時代、他にやることがある」などと言い放つ。
そしてそんな状態がしばらく続くことになるのである。

 久しぶりに描いた絵を前にこんなことを思い出す。
それにしてもこれで彼女は喜んでくれるだろうか・・。定着スプレーをかけたので手直しはできない。
09年05月14日 00時18分38秒
Posted by: nobushi
 先週の土曜日、若いご夫婦から築23年の建物を壊して新築したいという相談がありました。
 理由として・・
①屋根・外壁の修繕が必要と業者に言われ、特に屋根には150万円程度の費用がかかるとも。
②居間・キッチンが狭い、暗い、使いにくい。
③駐車がしにくい。・・等でありました。
築23年ではあまりにも早すぎると思い、次の日訪問。建物を見てきました。

 相談建物はすぐに修繕をする必要はなく、もし屋根修繕をする場合でも40万円くらいではないかと思います。しかし残念ながら②と③に関しては既存建物改造による良いアイデアはまだありません。
その理由の一つに現況建物が2*4構造で壁を取ることや、位置を変えることが難しい。もし木造在来工法であればある程度の改造は可能なのですが・・・。

 しかし今、木造在来工法の建物でも古い建物に増築をすることは難しい状況にあります。法規制により1981年(昭和56年)以前の建物の増築は既存部分の耐震補強が必須となっており、結果的には別棟としなければならないケースが多いようです。当事務所でもそんなプロジェクト進行中です。

 地震対策としては必要なことだとは思いますが、古いものを大事に、上手く使っていくという観点からは釈然とはしません。こんなことで日本の文化は大丈夫なの・・とも思います。

 一方、築23年の建物については「まだ解体するにはもったいないので、じっくり考えましょう」ということにしました。
やはり工事をする際には将来の変化に対応できる計画にすべきと改めて感じた次第です。
09年05月08日 13時50分14秒
Posted by: nobushi
・・・前回(ドイツ車の爆発)からの続き。

 思えば妙なことがあった・・・数ヶ月前、駐車していたドイツ車に知人が「エンジンがついてるんじゃないか」と言う。鍵は抜いておりエンジンが稼働してるはずはない。「ドイツ車の特徴です」などと言ったのだが・・。
 
 さっきの修理工場での言葉も気になる。「ラジエーター交換だけで\30万はかかる。回りも破損しているので・・・」「・・・」
 不吉な言葉を振り払い、先を急ぐ。それにしても今日は小春日和、先程の爆発が嘘のような穏やかな天気。ドライブ日和だ。
 しかしこの古いイギリス車は普段家神が乗っている。なので禁煙車。携帯用灰皿を使い喫煙したものなら大変な騒ぎとなる。それがなかったら・・などと考えている内に御役所についた。

 書類を受け取り、車外で一服。「こう上天気で空気が良いとタバコの味が落ちる。やっぱり映画のように周辺の空気がよどんでいる方がタバコが美味い。ハード‐ボイルドな小生には空気が爽やかすぎるのかも知れない」などと思う。
 そして約束の会社へ向かう。予定では1社めの約束を最後にし2社目からの訪問。最初の見積依頼と図面説明は無事終了。時計を見ると予定より15分早い。「よし、順調だ。このままでは少し時間を早くしてもらった方が良いかもしれない」と思いながら、イギリス車に乗り込み次なる訪問工務店へと向かう。

 1kmくらい進んだろうか。軽い登り坂のカーブにさしかかると、不意に「ガタン」という音がした。その後「ギーーーー」という音が足元から響く。これって、もしかして・・。左側に寄せ、車の下を覗く。思ったと通り。マフラーが途中で折れ、道路に接触している。

 ひとまず車のあまり通らない平坦な場所に車を移すことにする。「ギーーーー」「ガーーーー」マフラーの道路との接触音が絶え間なくする。途中でスーパーのおばちゃん4人が外で休憩を取っており、何事かとイギリス車を見つめる。平坦な場所に進み、改めて車下をタイヤの間から覗き込む。そしてどうしたものかとタバコを取り出し一服。

 一日の内2度も走行不能になるなど滅多にないだろうな~・・これも古い車ならでは。もしかして貴重な体験かもしれない・・などと思う。

 このイギリス車、普段家神が乗ってることもあり修理機材を積んでない。お手上げである。そこで、ちょっと離れた場所のガソリンスタンドへ徒歩で助けを求めた。すると・・「ここでは対処できない」と言う。そこで「近くに修理工場は?」と聞くと、「溶接しないといけないので・・それができるのは、ここから10kmほど南にある」などと言う。冗談ではない。あの接触音の中、徒歩と同じ程度しかスピードはだせない。国道を1km走ったら渋滞を引き起こす。10kmなんて走れるはずもないのだ。・・拉致があかない。
ガソリンスタンドでは古い外車修理は避けられる傾向にあるようだ。

 帰り道で自転車屋さんがあったので再び相談。すると・・「ここではできないけど、この辺には車販売店がいっぱいあるから、そこへ持って行けば」と言われる。なるほど、国道沿いには車販売店の看板が見える。

 次の訪問工務店に電話で事情を話し、車に戻る。

 イギリス車は国道と平行に走る道路に止めている。その道を通り車販売店に行くことになる。スピードは人と同じ。「ギーーーー」「ガーーーー」と鳴らしながら。通り道、再びスーパー裏でおばちゃん達の視線を感じながら。

 やっとのことA車販売店に着く。ふう~っと力が抜ける。

     なんと、休みではないか。

 そういえば今日は火曜日。しかも昨日祭日月曜日の次の日であった。さらに悪い予感がした。

 再びのろのろと、そして「ギーーーー」「ガーーーー」と鳴りながら、三度スーパー裏でおばちゃん達の視線をあびB車販売店へと向かう。するとそこも休み。おまけに途中ガソリンスタンドらしき所が見えたので行ってみると、ガス置き場だった。

 「こんなことではダメだ」と奮起、車を止めた。そして徒歩で国道へ行き、営業中の車販売店を探し廻る。すると国道反対斜線側にあった。

 車に戻りその販売店へ国道と平行に走る道をのろのろと、ガーーガーーと向かった。
そしてM車販売店で応急処置をして貰う事になる。

 時間は遠に過ぎている。2番目訪問予定工務店様に再び電話。M車販売店にわざわざ来てもらうことになった。ありがたい。M車販売店展示場で場所を借り、見積依頼と図面説明を行う。珈琲まで入れてもらい。
そうこうしている内に古いイギリス車の応急処置が完了。皆さまにお礼を言い、次なる工務店へと向かった。

 その後の2社は無事終了。しかし応急処置のため古いイギリス車のエンジン音は大きく、街で時々見かける若人のよう。この歳となり人格を疑われるといけないので、そのつど、今日の経緯を話さなければならず、図面説明より長くなってしまった。

 事務所に戻った時は心身ともにボロボロ。
しかし数々の難題をクリアし作戦遂行したことに、妙な達成感も感じた。
その後、2台の修理代をみて驚くことになるのだが・・・。外車の修理代は高い。

 昨日その中の1台、ドイツ車の車検完了との電話があった。分かっちゃいるのだが・・古い外車生活は続く。
09年05月08日 13時48分12秒
Posted by: nobushi

 数年前、先輩建築家が車に乗るのに運転席と反対席ドアからロックを解除、その後運転席から乗り込んでいた。「何でそんなことを・・」と聞くと、「運転席のロックが壊れてて・・」と。車は年季の入ったボルボのワゴン。「早く直した方が良いですよ・・」などと言いながら、「なんと言うこだわり」「設計者はこうでなくては・・」などと変な感激もした。
丁度その頃、僕は乗っていたイタリア車の度重なる故障に耐え切れず、知人に売ってしまった直後だった。その車は僕の手を離れると、レース出場するほどに見事に生き返り、なんとなく淋しい思いをしていた。

 それから時が経ち、僕は再び中古の外車を購入することとなった。当時、日本の新車で欲しい車があったのだが、家神からの経済状況の忠告もありドイツ中古車とした。

 それから数年。ドイツ車は乗り心地がよく、遠出には最適であった。

 そして昨年秋。その日はオフィスから60kmの所のプロジェクト、見積り依頼。4工務店に1時間ごとに訪問予定となっていた。少し早めに出発したが、天気も良く国道の車の動きは順調であった。

 20kmほど走った時、突然「ボッン」という爆発音がして目の前が水蒸気で真っ白になる。その後、赤い水(又はお湯)が噴出。それは破裂というものではなく、まさしく爆発であった。もちろん車は時速60km程度で走行。前が見えないためワイパーを動かしながら・・こんな場面、なんかの映画で見たなーと思った。幸いなことに近くにガソリンスタンドがあり低速で駆け込んだ。ところがそこでは手に負えないと言われ、近くの修理工場に電話を入れてくれた。1社は外車を扱ってないと断られ、そこから300mの所の修理工場に自走で持ち込むことになった。・・この自走したことがさらに修理費がかさむことになるのだが・・・。

 修理工場につくと「ラジエーター破裂でこんな激しいのは初めてだぁ」「・・・」「購入した所で修理した方が良いのでは」などと言われ・・少し淋しい気持ちになったが、気を取り直して電話をし、車を取りに来てもらうこことした。そういえばその兆候はあったかもしれない・・などと思いながら。

 僕には時間がない。これから4社の工務店に図面説明・見積依頼、そして役所にも行かなければならない。今日は忙しい。そこで家神に電話、もう一台の車を持って来てもらうことにする。その後、訪問1社目の時間を夕方(最後の時間)に変更してもらい、他の3社は時間通りに到着という作戦を取った。

 本作戦は完璧な計画であったが、しかし、一つ見落としていたことがあった。2台目の車も古いイギリス車だった・・・。

 そうこうしてる内にイギリス車が到着、そして代車を乗せた車輸送車が到着。一通り説明を聞き、後は家神に任せ、先を急いだ・・・。

・・・長くなったので次回へつづきます。

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