住まい建築においてのセレモニーは主に3回あります。地鎮祭・上棟式・引渡しです。
この中で、上棟式を行うことは少なくなってきていると聞き及んでおります。

 しかし当事務所のプロジェクトでは、ほとんどのクライアントが上棟式を実施。遠方の場合等はそれに変わるセレモニーを行ったりしてます。
 もちろん上棟式をやる・やらないの判断はクライアント(施主・建主)が決めます。当然、やらなくてもまったく問題はありません。

 では何故多くの場合実施することになるか。それは「当事務所のクライアントは凝った建物を望んでいる」ためと思います。

 上棟式は工事中、そして竣工後も建物が無事であるよう願って行われるものです。また職人(大工)さんの慰労、近所や親族へのお披露目でもあります。
 普通この時までクライアントが大工さんに会うことはなく、上棟式で初めて大工さんと会うことになります。

 住まいは買うものでなく、創りあげるもの。そしてクライアントが中心となり、またはクライアントに代わり、設計者・工事技術者や職人さんが築きあげていきます。上棟式はそのための出会いのセレモニーでもあるのです。

 そして、どんな人が住むかが分かって工事するのと、まったく知らないで作るのとはおのずと違いが出てくるはず。また完成後に、どんな人が造ったかを知っているのと、知らないのとは愛着の度合いも違うはずです。
「あの人がこんな物を作った」とか、「この辺りを作るのに苦労していた」などと住みながら職人さんの顔を思い浮かべれる事は素敵な事です。それが僕の考える「住まいに凝る」ということです。

 人とのつながりが豊かさを生む。そのための上棟式をお勧めしてます。