小田原市内で計画中の平屋住宅の敷地。その敷地の文化財発掘調査現場、10日目の様子を見てきた。調査の様子を見た瞬間、「発掘現場だー!」と、思わず声を上げたほどの光景だった。
null 調査している方の話によると、まず今見えている地表から1.5m~2.0mのところに、古墳時代か弥生時代頃に、川が流れていたらしいことが分かるとの事。川は写真左から右に流れており、しかもその川は常時水が流れていたわけではなく、雨降りの後だけ流れていたらしい。

なんでそんなことまで分かるのかと尋ねると、常時水が流れていた川に見られる特徴が見られないとの事。なるほど、なんかミステリの謎を解く探偵みたいだと、思わず感心してしまった。

その後、その場所に家が建てられたようで(これもたぶん弥生時代辺りの話らしい)、その家の釜場跡が下の写真。

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釜場、つまり現代で言うキッチンは、土を叩き固めて使っていた形跡があるとのこと。土間ですね、土間。これが三和土(たたき)の始まりだな――なんて事を考えながら話を聞いていると、釜場の脇から櫛目模様の入った、壷か瓶の類の欠片が見付かっていると教えてくれた。一緒に写っている籠の中には、小さな土器の欠片が沢山入っている。

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なんか完全に発掘現場だ。

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深い所では、2m以上も掘られた土には、地層の境目に線が入れられている。これらの情報を細かく記録していくのだが、その作業はまるで地図を作っているかのよう。掘削現場を平面的に碁盤の目のように分け、そこに色の違う釘を打ち込み、水平の位置と深さを示す線を記録していく。まるでコンタ。(contour-地図の等高線のこと)

こりゃあ、大変な仕事だな~、時間掛かるわけだ――と、一人納得しながら土の断面を眺めていると、その直ぐ下にも何やら、赤い土の箇所がある。これも何かの土器だろうか?

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作業の敵は雨だそうで、大雨が降るといろいろな情報が流されてしまうとのこと。これからの季節、それだけが心配だと言っていた。

ちなみにこのような文化財の発掘調査を公開したりはしていないのか? と、尋ねたところ、実はその機会は少ないらしい。大抵の場合、建築主あるいは事業主が、建物建設を急いでいることが多く、「発掘調査を公開したい」と、お願いしても断られることが、ほとんどなのだそうだ。

しかし文化財や考古学に興味を持っている方は意外と多く、つい最近も告知期間が3日しか無かったにも関わらず、70人近い見学者が訪れた発掘現場もあったという。

むむむ、建築主側の気持ちは勿論分かるし、このような調査現場の様子を見たり話を聞いたりすると、これは面白いと思ってしまったこともホント。立場が違うといろいろあって、なんか難しいね。私はせっかくの機会だし、チョクチョク見に行こうと思います。

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