知人と話していたら、固定資産税に関する話になった。
毎年支払う必要のあるものだから、少しでも安く抑える工夫をしておけば良かったと、少し後悔しているようだった。今は景気が不安定で、どこの企業も大変な時期。勤めている人なら、みな同じように考えていることでしょう。

家を建てるとき、建設費用(イニシャルコスト)を抑えたいと思うのは、皆が思うこと。
そして水道光熱費を含めたエネルギーコストを押さえようと考えるのは、その次のこと。つまり生活するために必要なイニシャル・コストの話。これは建物の構造のこと然り、断熱材の種別や床暖房と言った設備利用に関する話然り、他にも窓の大小やその位置、吹き抜けの有無などもコレに当たる話なのかもしれません。たぶんほとんどの人が、ここまでで終わっていると思います。

勿論、家を造る話だから、ここまで考えれば十分なのかもしれませんが、知っておいても損の無い話が、その先の話。つまり固定資産税のこと。
固定資産税とは、国が決めた基準に則り、建物に対する評価で課せられる地方税のこと。
家が完成してしばらくすると、家の建てられている市町村から検査員が訪れ、建物の評価額を算定していきます。その際、実際の建設工事も、ある程度の目安にはなりますが、実際には建物の形状や設備、仕上げ材になどによって評価額が変わるのです。つまり、固定資産税を低く抑える家の造り方は、あると言うことなのです

同じ面積ならば、凸凹の激しい平面よりは四角に近い形の方が安く、立体的な形にしても総二階に近い方が安いと言われています。屋根の材料一つとっても、瓦屋根よりはスレート屋根のほうが安く、スレート屋根よりは鋼鈑屋根の方が安いと言う評価になるそうです。

部屋数に関しても評価は変わってきます。
同じ延べ床面積の建物ならば、部屋数が沢山ある家よりも、少ない方が評価は低いそうです。だって壁の量が少ないですもんね。

その他にも設備や建具といった、目に見える部位に関しても様々な評価項目があり、上手に採用すれば、長い目で見て経費を抑えた家を造ることも出来るのかもしれません。

ちなみに私も実際に、面白い経験をしたことがあります。
化学物質で悩まれる方の家を設計したときに、接着剤を使用しない合板を、室内の仕上げ材として使用した事があります。勿論、塗装などは施しませんでした。ところがこの合板、特殊な材料だったために、かなり高価な品だったのですが、固定資産税の評価は最低ランクと判断されたそうです(笑)

実際の価格と評価の基準はイコールではないので、この辺りのことを知った上で家を考えると、少しだけ違った物になるのかもしれませんね。

ちなみに私と雑談していた友人は、残念ながら私の設計ではなく、某住宅メーカーさんの家でした。固定資産税の話以外に、もう少し深刻な悩みを抱えていたのですが、その話は割愛します。

彼が言うには、「せめてその時に、アドバイスだけでも受けていれば・・・」と言っていましたが、今となっては後の祭り。固定資産税の話などは、家造りの本筋からは外れた話ではありますが、本筋の話に関してだって役に立てたと思います。悩み事に関する相談には乗ってあげましたが、造る時に話したかったですね。


天工舎一級建築事務所