クライアントの打ち合わせでは、なるべく専門用語を使わないように心掛けている。
こちらでは「当たり前に使っている言葉」が、クライアントには通じていないことがあるからだ。でもそんな時でも大抵の方は、「それはどういう意味ですか?」とは尋ねない。尋ねることに気を使っているのか、知らないと言うことに抵抗があるのかは分からないが、なぜか尋ねてこないのです。

そんなことがあると気づいたのは、以前、『犯行現場の作り方』の原稿を書いている時だった。当時の編集者の方が、「中廊下(なかろうか)って何ですか?注釈ください」と言われて、面食らったことがあったのだ。

私にしてみれば、「それって標準語じゃないの?」と思ったので、正直ちょっとむくれたのだが(笑)、後で建築と関係ない知人に、「中廊下って意味分かる?」と尋ねたら、圧倒的に分からなかったのだ。

それからは、私が日常的に使っている言葉でも、なるべく専門用語っぽい言葉は、避けるようにしている。とは言え、最低限の言葉は使ってしまう。

例えば打ち合わせをしている時に、「ここの居室の窓は、もっと大きくして」と言ってしまうことがあるが、この居室が専門用語なので、分からない人には意味が通じていないことがある。居室とは、超簡単に言ってしまえば、LDK、寝室、子供部屋、和室のような部屋の意味で、玄関・トイレ・洗面・浴室・何度などはこれには当たらない。

こう言うことって意外と多い。例えばミステリを全く読まない人に、「この作品にはレッドヘリングが多いので、読んでいて気が抜けない」と言っても、一体何のことを言っているのかチンプンカンプンなのと一緒だと思う。

注意しなければいけない。
さて、珪藻土。これを分かりやすく言い直すと、さて何だろう?
専門用語は、使うのも説明するのも、難しいものですねぇ・・・。

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