『フレンチ警部と毒蛇の謎』読了
投稿日:2010年09月16日木曜日 16時51分09秒
投稿者:天工舎一級建築士事務所 カテゴリー: General
クロフツの長編小説で、ずっと翻訳されなかった本書が、今年の春に翻訳されました。
その本書、暫く本棚に積んだままだったのですが、ようやく読む事が出来ました。
まさに、クロフツ・ワールド炸裂の一冊です。
それもその筈、本書は1938年に刊行された作品なのです。ただ翻訳されなかっただけ。
ですからクロフツの世界やフレンチ警部の雰囲気が、先日読んだ1932年刊行の『二つの密室』と同じままでした。
そんな昔の作品なのに、本書はなんと倒叙物。
しかも動物園の園長を勤める主人公がメインキャラではなく、ある意味ではサブキャラというイレギュラーな構図。それでも流石はクロフツ! 事件に向かって転がり落ちていく主人公の心理が、読んでいるこちらが息苦しくなるほどに伝わってきます。その閉塞感の描き方は、実に鮮やか。
また、トリックを解説するために図版が入っているのですが、これがまた良い!
先に読んだ『二つの密室』にも図版が入っていましたが、実はクロフツ、図版を使った作品と言うのは、本当に少ないそうで、そう言う意味では貴重な作品でもあります。
それにその図版は妙にリアルで、作家になる前の職業・鉄道技師だった頃の知識が書かせたアイディアなのかも? と、思わせるほどの内容で、図版好きにはたまりません。
ただあまりにもマニアックな断面図で書かれているので、分からない人には、ほとんど「???」だったかも?そこだけが惜しかったですが、とても面白い一冊でした。
神奈川県小田原市荻窪314正和ビルみなみ302
天工舎一級建築事務所
TEL 0465-35-1464
E-mail toshio0223@k-tantei.com
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その本書、暫く本棚に積んだままだったのですが、ようやく読む事が出来ました。
まさに、クロフツ・ワールド炸裂の一冊です。
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ですからクロフツの世界やフレンチ警部の雰囲気が、先日読んだ1932年刊行の『二つの密室』と同じままでした。
そんな昔の作品なのに、本書はなんと倒叙物。
しかも動物園の園長を勤める主人公がメインキャラではなく、ある意味ではサブキャラというイレギュラーな構図。それでも流石はクロフツ! 事件に向かって転がり落ちていく主人公の心理が、読んでいるこちらが息苦しくなるほどに伝わってきます。その閉塞感の描き方は、実に鮮やか。
また、トリックを解説するために図版が入っているのですが、これがまた良い!
先に読んだ『二つの密室』にも図版が入っていましたが、実はクロフツ、図版を使った作品と言うのは、本当に少ないそうで、そう言う意味では貴重な作品でもあります。
それにその図版は妙にリアルで、作家になる前の職業・鉄道技師だった頃の知識が書かせたアイディアなのかも? と、思わせるほどの内容で、図版好きにはたまりません。
ただあまりにもマニアックな断面図で書かれているので、分からない人には、ほとんど「???」だったかも?そこだけが惜しかったですが、とても面白い一冊でした。
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Posted by: tenkoushya