木組みの家をつくる(2)・・・刻みの技術(職人技)
いわゆる在来工法で家を建てる場合は、骨組みとなる構造材はプレカットと言い、工場で機械加工されたものが主流となっています。その加工は、数値をコンピューター入力され、加工精度も良く、それこそ〈職人技〉です。
知り合いの大棟梁は、「下手な手加工だったら、プレカットの方が良いよ」と言い切ります。
しかし、プレカットでの加工は、単純な形状の加工が一般的で、どうしても金物の補強が前提となっています。もちろん、一部でかなり複雑な加工も可能な工場も有るとは聞きますが、木を組んでの構造の場合は、自然と「手加工」「手刻み」という形になります。
もちろん、「手加工」「手刻み」とは言っても、現代ですので、かなりの部分で加工機械の使用もあります。ですから、全て「手」という事ではなく、大工職人が自ら加工するものを「手加工」とか「手刻み」と言う訳です。
ある程度の年齢の大工さんであれば、複雑な加工の技術も知識もある程度お持ちですのようです。しかし、前述のようにプレカット加工が一般化するようになり、一軒の家を「手刻み」する機会が激減し、それにより、これまで自然に継承されて来ました「刻み」の職人技が、なかなかスムーズに伝承されない状況があります。
そんな意味でも、「手刻み」が当たり前の木組みの家をつくることは、日本の伝統技術伝承という部分でも、大きな意味を持つのです。
一般的には、大工さんはその技術を学校で教わる訳ではありません。「仕事」を通して、その技術を自然と継承して行く形ですから、どんな仕事があるのかで、関わる職人の技術は変容して行くのです。
それは目にはなかなか見えない変化ですが、気が付くと、ある時、その変化がはっきりと見えてくるのです。
だから、木組みの家は止められないのです!