省エネルギー設計技術の講習会に行って来ました。住宅の省エネ評価は数年毎にどんどん改定されていくので追っかけるのが大変です。平成27年4月1日に完全施行された最新基準では、外部まわりの熱の出入りに加えて設備性能についても算出することになりました。

建 物がいったいどのぐらい熱を取り込んでどのぐら出しているか。断熱性能はどこをどう断熱すればベストなのか。単純な疑問ですが、それを検証するのは非常に 困難です。また、計算で出した数値が実際の建物に当てはまるかというと、そう簡単でもありません。建築は非常に多くの要素から成るため、熱負荷計算を行う 際にかなりアバウトな平均化を行うこと、実際の現場で完璧な断熱性・気密性を確保した施工を行うことは現実的に不可能に近いためです。

と はいえ、完璧でないにせよ理論上どのぐらいの性能を確保できる住宅なのか、目標を定めながら設計を行うことは大変重要です。評価計算を行うプログラムもシ ステム整備がかなり進んできたので、設計時にどの箇所にどのぐらい断熱を行えばよいか、シミュレーションしながら進めることができそうです。


現在はまだこんな段階ですが、2020年をめどに全ての新築住宅に省エネ基準適合が義務化されるそうです。建売やハウスメーカーの建物は形も単純、素材も単純なので評価計算も簡単ですが、われわれがつくる建築はイレギュラーな条件のものがほとんど。昨年竣工した『 』の家は フラット35S認定を取得していますが、申請の際、鋼板サンドイッチパネルの透湿抵抗を証明する資料がなく(鉄板は湿気を通さないのが当たり前なのでメー カーもそんな検査はしていない)、検査機関からは「湿気ないことを証明しろ」と無茶振りされて非常に苦戦しました。企画化された住宅以外にも生き残る道が 残された制度になるのかどうか。今から先が思いやられます・・・。

山本嘉寛建蓄設計事務所
http://yyaa.jp/