タナカ深建築設計事務所プロフィール

木造住宅の設計をしています。この地方は、何時大地震が起きてもおかしくないと云われています。そこで、地震エネルギーを吸収して、建物自体の揺れを半分以下に抑える制震ダンパーを使用した制震住宅を設計しています。制震住宅は家具の転倒もなく、人に恐怖心を与えることも有りません。

今日は設計では無く、地震についての話です。
東日本大震災はＭ：９.０で日本の地震観測史上最大で、震度も気象庁制定震度階級の最大震度７を記録しました。
そこで、マグニチュード(Ｍ)について考えてみましょう。
マグニチュードは地震のエネルギーの大きさ(規模)を表わす指標値(尺度)であり、地震の規模を示す値と云えます。
専門的な難しい計算式は措いておいて、簡単に表わすと
Ｍ6.0を基準にするとＭ7.0は約32倍、Ｍ8.0は約1,000倍、Ｍ9.0は約31,620倍となります。どうして？？難しいことは考えずに１ふえると32倍、２ふえると32の二乗倍、３ふえると32の三乗倍と覚えて下さい。

東海地震の震源域の中心に有る中電浜岡原発の運転停止で話題になっている東海地震は過去に一度も単独で起こっていない。1976年(昭51年)東大の石橋克彦助手が「駿河湾地震説」を発表し、1944年(昭19年)の東南海地震の割れ残り部分の30年以内の巨大地震発生確率は高く、何時発生してもおかしくない状態と考えられると、始めて「東海地震」と云う名前が付けられ、どのような地震か具体的に示され、今では法律上も東海地震として独立した地震のように云われていますが、石橋氏自身が「30年経っても地震が起きなかったので、この説は誤っていた。」と云っておられます。でも、これは単独では起きないということで、東南海地震と同時に必ず起きます。

浜岡原発は東海地震の想定震源域のど真ん中に有るが、中電は東海地震でＭ(マグニチュード)9.0は起きないと云い、Ｍ8.5を想定し、揺れを800ガルと想定し、安全をみて1,000ガルの揺れにも耐える工事をしたから安全だといいますが、想定が余りにも甘すぎます。(建築基準法では、400ガルを木造住宅は大破するが倒壊は免れ命だけは守れるようにと云う主旨で最低基準と定めている。)
東海地震は単独ではＭ9.0は無いが、常に東南海地震と連動して同時に起きるのでＭ9.0は有り得る。
1,000ガルにも耐えるといいますが、中越沖地震(Ｍ6.8)では柏崎刈羽原発では1,699ガルの揺れが有り、東海・東南海地震では1,000ガルを遥かに超える激震になると思います。
なんと云ってもＭ9.0はＭ6.8の約2,000倍の大きさですから。

中越沖地震の震源は柏崎刈羽原発から23ｋｍの中越沖で、震源の深さは17ｋｍ、Ｍ6.8、震度6強でした。地震的に云えば23ｋｍは直下型地震といえます｡
浜岡原発で心配されている直下型地震の始めてのものとなりました。浜岡も震源は浅く、約15ｋｍと云われます。
しかし、規模が桁違いに違います。約2,000倍です。
浜岡で直下型地震が起こったらどう云うことになるのでしょうか？　考えただけでも怖くなります。
中電のここに原発を造るという発想が分かりません。しかもそれを安全だという根拠が分かりません。

マグニチュード(Ｍ)の素人でも出来る簡単な計算
Ｍの数値の計算は難しいので気象庁に任せて、「マグニチュードＡはマグニチュードＢの何倍か？」を比べることで地震の規模を知ることができます。
簡略化して分かりやすくした式は
Ｘ(倍)＝10＾｛1.5×(Ｂ－Ａ)｝となります。＾はべき乗です。べき乗とは何だと思われる方も、「べき乗キー」付き電卓が有れば簡単です。手計算ではちょっと無理？
Ｍ6.0とＭ7.0の時は　10＾｛1.5×(7.0-6.0)｝＝10＾1.5となり、電卓で「ｘのｙ乗」キーがあれば(私の電卓は×(掛ける)キーに付いています。)　10＾1.5は10押すINV押すxのy乗押す1.5押す＝押す　でＭが1.0大きくなると31.623倍となります。
　

マグニチュードが何倍になるかと云う計算を細かく計算しました。少し増えると急激に大きくなることが分かります。
起点が変わっても倍率は同じですから起点はＭ6.0でなくても、どこでも良いです。Ｍ6.0を起点に計算してみます。
Ｍが2.0増えると10＾{1.5×(8.0-6.0)}=10＾3=1,000倍
3.0増えると10＾{1.5×(9.0-6.0)}=10＾4.5=31,622倍
もっと細かく計算してみると
0.1増えると10＾{1.5×(6.1-6.0)}=1.412倍
0.2増えると10＾{1.5×(6.2-6.0)}=1.995倍
0.3増えると10＾{1.5×(6.3-6.0)}=2.818倍
0.5増えると10＾{1.5×(6.5-6.0)}=5.623倍
1.1増えると10＾{1.5×(7.1-6.0)}=44.668倍
1.2増えると10＾{1.5×(7.2-6.0)}=66.095倍
1.3増えると10＾{1.5×(7.3-6.0)}=89.125倍
1.5増えると10＾{1.5×(7.5-6.0)}=177.828倍
2.1増えると10＾{1.5×(8.1-6.0)}=1,412.537倍
2.2増えると10＾{1.5×(8.2-6.0)}=1,995倍
2.3増えると10＾{1.5×(8.3-6.0)}=2,818倍
2.5増えると10＾{1.5×(8.5-6.0)}=5,623倍
2.8増えると10＾{1.5×(8.8-6.0)}=15,849倍